さざれ石

植物と鉱物をモチーフにしたジュエリー・アクセサリー

ハルジオンの花のシロップ 春の野草料理2

お題「お気に入りの一杯を教えてください」

ハルジオンの花シロップと料理

 ゴールデンウィーク最終日はハルジオンの花のシロップを作りました。

ハルジオンの花のシロップ 白ワイン割り

空き地のハルジオン

 街中の道端にも空き地にも公園にもどこにでも生えているハルジオン。

 お馴染みの春の光景ですが北米原産で日本に入ってきたのは明治時代。 

 子供の頃はビンボウグサの名前で呼んでいました。

 糸のように細い花びらが貧乏人のほつれたボロ布のようだからだと思っていましたが、庭の手入れもできない貧乏人の家に生えてくる、の意味だとか。

 そもそもは観賞用に導入されたというのにひどい言われようです。

緑の草原にすっくと立つ白い花は目に涼しい

 ハルジオンはキク科の植物で、花も蕾も葉も食用になります。食用になる雑草の中でもトップを争う美味しさだとか。

 

 河原の人や犬の散歩ルートを外れたところで綺麗な花を摘み取ります。

 無農薬で育った美味しい草…というと虫が心配なので確認しながら採取します。

 花の上で休憩や待ち伏せをしている虫はいても、環境が良いのかアブラムシなどはあまり見かけませんでした。

 終わりかけのタンポポ、まだいくつか咲いているものがあったのでとっておきます。
 

野薔薇

 ノバラの株もいくつか発見したので一枝もらって帰ります。

フィラデルフィアデイジー

 ハルジオン: 学名 Erigeron Philadelphicus、フィラデルフィアデイジーとも呼ばれます。

    チェロキー族など、北米のネイティブインディアンはフィラデルフィアデイジーを薬草として利用していました。

 煎じて飲んだり、根を使用したり香のように吸入したり湿布にしたり。収斂作用と利尿作用があり、頭痛と悪寒と咳嗽と喉の症状とてんかんに効いて、さらに目のかすみにも月経困難症にも流産にも心臓発作にも効能があったとかいう万能ぶり。

 

下ごしらえ

 葉っぱの柔らかそうなところはおひたしに。つぼみはハルジオン味噌に。つぼみ付きの花をいくつかピクルス用に。

・ハルジオンの花シロップ

 タンポポシロップのレシピがおいしそうだったので参考に、タンポポをハルジオンに変えて。オレンジかレモンの輪切りを用いるのが元レシピですが今回は外皮を剥いた甘夏を使いました。

 小鍋一杯のハルジオン、ハルジオン+タンポポにそれぞれ水と甘夏半分を加えて15分ほど煮込みます(のちに鍋が足りなくなって一つの鍋に合流)。

 煮出した液を布で濾し取り、甘夏の残り果汁を加え、好みの量の砂糖を入れて好みの濃度に煮詰めます。

 結局使用したのはトータルで小鍋2杯分の花(それぞれ水300でひたひたになるくらい)、水600ml、甘夏蜜柑2個、砂糖約200g。

 長く加熱すると香りがとびそうでもったいないなあと思ってあまり煮詰めてはいません。

ダイコンとカリフラワーとミニトマトのピクルス
ハルジオンとディル風味



夕ご飯

 ハルジオンの味の感想です。

・若菜が美味しいというのは食べやすいという意味かと思っていましたが茹でたては野趣あふれる香りと味わいで、天ぷらにしたらきっとおいしい。しばらく水に晒すとクセはなくなります。おいしい。
・生のつぼみをかじるとピリっと辛味があります。ごま油で炒めて味噌と味醂で味付けをするとフキノトウ味噌に似た「山菜の味」でごはんに合います。おいしい。

・ピクルスに入れると見た目がかわいくなります。味は存在感がうすい。

・菊酒にならって日本酒に花を散らすと見た目がかわいくなります。味と香りは良くわからない。花びらが口にかかって邪魔です。

ハルジオン(と少しのタンポポ)の花シロップはものすごくおいしい!!

 今まで一番おいしいと思った蜂蜜はマルタ島産の野の花の蜂蜜で、その蜂蜜酒も記憶に残るおいしさでしたがそれに似て一口飲んだ時に新鮮で繊細で複雑な甘い香りがふわっとしてめちゃくちゃおいしいです。なにか高級なハーブウォーターを濃厚にしてもっとおいしくしたような味。バカンス的な楽しい気分になります。

 白ワインで割ったらいくらでも飲めそう、とはじめ思いましたが飲み終わるころには何かお酒の酔いとは別のものが回ったような効いてきたような感じがあって、これは越えてはいけない用法用量があるやつでは?という気がしてきました。

 皆さんにおすすめしたいけれど色々な薬効と副作用があるかもしれないので適量を守って摂取していただきたいと思います。

水で10倍希釈

 2杯目は薄めにして飲みました。さわやかな味わいでいくらでも飲めそう。

 来年はタンポポシロップにも挑戦したいですね。

 

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野薔薇のシロップもおすすめ!

 

室内ワイルドガーデン

 ハルジオンはもともと好きな花ですが、最近まで外で雑草を摘んだりいじったりするのは恥ずかしいような気がしていたので家でも育てていました。

 

 3月10日 小ネギの左側にハルジオンの苗

 水をやるだけ楽々水耕栽培です。

 ハコベやオオイヌノフグリは日照が足りないのか成長はいまいちでしたがナズナやハルジオンはすくすく育ちました。

4月7日 満開

5月5日 種をつけ終わったハルジオン

 でも花が楽しめるのはほんのつかの間…

 そこで昨年から作っているのが萎れないハルジオン。

ハルジオン原型製作中

 銀線や真鍮線をロウ付けして花びらと花芯を作ります。

 鋳造用のゴム型をとるため花弁の間の隙間をワックスで埋めています。

 これ以上ロウ付けのために火を当てたら分解しそうだしやすりで削っても分解しそうな原型1(左側)を一度鋳造してコピーをとり、パーツとして整えていきます(右)。

 

 ガクと茎はこんな感じでいけそう。

 あとつぼみをどうやって作るか迷い中ですが、ゴールが見えてきました。

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川辺の散歩、野の花のブーケ

 カラスノエンドウ🫛採取のため近くの川沿いを散策、気になる花と花の写真もとってきました。

 

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土手の上のタンポポ、コハコベ、オオイヌノフグリ

 

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 水辺の砂地に生えたオオイヌノフグリそっくりの紫の花。オオカワヂシャ? 

ハルジオンの花畑

 ハルジオン、ビンボウグサ。もとは観賞用として渡来しただけあって見応えのある花畑です。種子の寿命は35年ととても長いので、種をつける前にせっせと除草しても毎年生えてきてしまいます。
 

ヘビイチゴによく似た黄色い花の群落 オヘビイチゴ?

ネバリノミノツヅリのささやかな花畑

草むらで丈高く成長したミドリハコベとノミノフスマ

 川辺のハコベは農地のものより茎葉がほっそりとして清楚な印象です。

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小さいけれど愛らしい ワスレナグサに似たキュウリグサ

 河原で一番目をひいたのは大繁殖するナヨクサフジでした。

 

 ナヨクサフジ、ハルジオン、アカツメクサはいずれも侵略的外来種。遠慮なくハサミをいれて採ってきました(ナヨクサフジは葉の先端にある巻きひげで互いに支え合っているので、手で摘み取るのは大変です)。

  ミニ雑草アレンジ。

  赤い花はアメリカ原産のユウゲショウ、黄色の花はヨーロッパ原産のクスダマツメクサ。

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カラスノエンドウ 春の野草料理

お題「私のおすすめレシピ」

 身近に生えている雑草、カラスノエンドウが食用になるときいてずっと気になっていました。

カラスノエンドウ

 群を抜いて色鮮やかな赤紫色の花、優美な羽型の葉、見た目からしておいしそう。

4月上旬、知人宅で採らせてもらったカラスノエンドウのおひたし

 先端から2〜3つめくらいまでの若いやわらかな葉を摘んでおひたしに。

 クセのない味わいですがほうれん草や小松菜と比べると草っぽい口にかかるかたさが。もっと若い葉を厳選して、巻きひげもとった方がよりおいしくなったかも。

4月下旬 実をつけたカラスノエンドウ

  花の後には小ぶりですが立派な豆がつきます。

 

ナヨクサフジ

 近所の川辺ではマメ科の仲間、ナヨクサフジが大群落を作っていました。

 

野生の豆各種

 河原で採ってきた野生の豆たち。

 左上 カラスノエンドウの豆 右上 カラスノエンドウ

 右下 スズメノエンドウ

スズメノエンドウの小さな花

 真ん中と左下、房状の花をつける在来種のクサフジと思ってとってきましたが調べてみると、ヨーロッパからの帰化植物ナヨクサフジのようです。

 葉はカラスノエンドウに似て少し細長く、豆はカラスノエンドウそっくり。

花の柄が萼の横についているのでナヨクサフジ
花柄が萼の先端につながるのがクサフジ

 レンゲ、カラスノエンドウ、ナヨクサフジといったマメ科植物の根には空気中の窒素を固定して栄養にする根粒菌が共生しています。ナヨクサフジは緑肥として、家畜の飼料としてヨーロッパで利用されてきました。日本でもヘアリーベッチとして種子が販売されており、野生化したものが河原のナヨクサフジです。

 普通に人間も食べられるかと思ったナヨクサフジですが、検索すると毒性ありとの情報が!

 ナヨクサフジはシアナミドという物質によって他の雑草を抑制する他感作用(アレロパシー)を持っていて、これが家畜が大量に食べた時の中毒の原因にもなるのではないかと疑われていると。

 このシアナミドはカラスノエンドウやそら豆にも含まれていますが、ナヨクサフジはそれらのマメのおよそ2倍の量が含まれています。

 少量なら問題ないのかもしれませんが、食べるのはやめてナヨクサフジは見て楽しむだけに。

 

カラスノエンドウの豆のさや

 4-5 cmに成長したカラスノエンドウの実は見た目はりっぱなサヤエンドウです。かじると甘みのある豆の味と香りがしますが、筋ばって固いため中の豆だけ取り出します。

カラスノエンドウグリーンピース

野生の豆コース

 野生の豆のコース料理ができました。

 左上 はし置きに盛り付けた茹でスズメノエンドウ 

  ミニミニ枝豆のようでとてもかわいい。味は小さすぎてよく分からない。 

 右上 カラスノエンドウとミニトマトのおひたし

  さわやかなおいしさ。

 左下 カラスノエンドウとポテトのスープ

  ちゃんと豆の味。小さいグリーンピースはやわらかくて口あたりが良いです。

 右下 カラスノエンドウと小エビのパスタ

  ニンニクと小エビとオリーブオイルでだいたいおいしい。カラスノエンドウの存在感はうすいけれど普通においしい。

 

 豆の味は栽培種にまったく負けていません。小さくてかわいい見た目も気持ちが盛り上がります。が、可食部が少なく下準備には手間がかかります。カラスノエンドウグリーンピースはきっともう食卓にあがらない…

 散歩のついでに小さい柔らかいさやを少し摘んで、さっと茹でておひたしやスープに添えて春の味覚を楽しむのがおすすめです。

カラスノエンドウのイヤーカフ 真鍮、シルバー925

 カラスノエンドウモチーフのイヤーカフ試作品。葉は真鍮、花はシルバー。

 色々なものに引っかかりそうなデザイン。

 

 少し大ぶりのブローチか髪かざりを作りたい。

 そして来年にはカラスノエンドウの花を使った何かこうかわいいお菓子を作ってお茶会などしてみたい。

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オオイヌノフグリのピアス

 

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春の青い花といえばオオイヌノフグリ

 小さいけれど目を惹くに十分な青い花は明るい空の下、ひらけた日向に咲きます。

 ユーラシア大陸原産で、ヨーロッパ・アジア・アメリカ・オセアニア・アフリカを制覇し日本には明治時代に帰化しました。

 オオイヌノフグリの名の由来は、ひょうたん型の種の形から。大犬のふぐり。

オオイヌノフグリの実

 植物の愛人を名乗る命名者の牧野富太郎先生、恋人にはもっとロマンチックな名前をつけても良かったのに…

早春、こんな青空の下で



オオイヌノフグリの群落

 空を映したような美しい青の花畑。

  

   名前はどうあれその可憐さをプラチナとダイヤモンドで讃えてピアスを作りました。


 

オオイヌノフグリのダイヤモンドピアス

 学名はVeronica persica(ベロニカ ペルシカ)、ゴルゴダの丘に向かうキリストにスカーフを差し出したという聖女ベロニカに由来。

 

ハコベとダイヤモンド

 

ありふれてめずらしい、貴重なもの

 子供のころ、海辺や道端で綺麗な小石を見つけて拾い、野に咲く小さな花を集めて遊びました。

 濡れて日に透かすとキラキラ光る石英は宝石のようで、とりどりの花を摘むのも楽しい時間でしたが手の中ですぐに萎れてしまうのが残念でした。

 

 春の七草の一つにも数えられる身近な野の花、ハコベ(ミドリハコベ)をピアスにしました。

 

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  早春の野に萌え出でるやわらかい若菜は、かつて貴人の手にも求められた貴重な食料でした。

 

  君がため春の野に出でて若菜つむわが衣手に雪は降りつつ

                          古今集 光孝天皇

 

2月、ベランダのコンテナと床の隙間から出てきたミドリハコベ

 咲く季節が長いので、ハコベにはトキシラズという別名もあります。

 

3月、ドライブに行った隣県の畑地で摘んだコハコベ

4月、駅前の花壇のすみに咲くコハコベ

 ハコベはミドリハコベとコハコベの総称で、コハコベは茎が赤みを帯びて片側に繊毛がはえています。 

ちぎって水に差したミドリハコベから根が出て咲いた花

 屋外で花のついたミドリハコベとは中々出会えず、写真はベランダで摘んだミドリハコベ。

 部屋で花を楽しめるかと思いましたが室内光のもとでは咲いている時間も短いのかいつ見てもつぼみと種ばかり。

 水栽培でほっそりした花びらですがようやく撮れた、咲いている貴重な一枚。

 

 生命力にあふれていながら小さくてはかなく、身につけることも飾ることもむずかしい花の姿をとどめておくために、金とプラチナとダイヤモンドでその形を写しとりました。

がくは18金、花弁はプラチナ、花芯はダイヤモンド

 

 貴重な宝石の代表、ダイヤモンドは地下深く高温・高圧の環境から急速に地表近くへ押し上げられることで生まれます。

キンバーライト鉱石についた小さなダイヤモンド

 ダイヤモンド自体、この地球でまれな鉱物というわけではなく、年間の採掘量1億カラット以上、地殻の中には1000兆トンものダイヤが眠るとも推定されています。

 ジュエリーになるダイヤモンドはその一部としても年間1500万カラット以上、ルビーの50万カラットと比べても多く流通しています。

 

 現在では地下深くまで大穴を掘削したり、大規模に海底の砂礫をさらう事もしますが、ダイヤモンドがまず発見されたのは母岩が風化し砂礫となって運ばれた川辺や谷底、野原でした。

8面体のブラウンダイヤモンド原石

 千一夜物語に出てくる危険な蛇の住むダイヤモンドの谷(商人たちは生肉を投げ込み、肉についたダイヤモンドを鳥に運ばせて手に入れる)のモデルとなるような、ダイヤモンドの結晶がゴロゴロしている谷間がかつては実際にあったかもしれないし、小さな谷間で何も知らない子供が半透明の綺麗な石を拾って遊んでいたかもしれません。

 宝石としての価値が広く知られるようになったのは研磨技術が発達した15世紀以降のことで、それまでは水晶よりも価値のない石ころとして見過ごされたダイヤも多かったことでしょう。

透明な石コレクション
上段①タンビュライト ②ダイヤモンド ③トパーズ ④フェナカイト ⑤ハンベルジャイト
下段①アクロアイト ②水晶 ③フローライト ④ゴシェナイト

 高い屈折率を持つ研磨されたダイヤモンド(右上2番目)の輝きは肉眼で見ると一目瞭然です。さらに抜きん出た硬度、安定した流通があるからこその確立された品質評価基準や加工技術で今では人気と知名度において宝石の頂点に君臨しています。
 

 野に咲く花、河原の小石、今日という平凡な日の特別な美しさのために

 

学名stellariaは星という意味、5角形の形から。