さざれ石

身近な植物と鉱物のことなど アクセサリー作り

黒いダイヤモンド② 天然石研磨 木炭・石炭・ジェットの加工

 

左上: 備長炭 左下: 石炭 右: ジェット

 

sazare-ishi.hateblo.jp

 

 備長炭に引き続き、国産の石炭をルースにしてみました。

 今は閉山となった福岡県三井三池鉱山の無煙炭。 

 手頃な大きさにカットするのに、まずコッピングソーを使ってみましたがぼろぼろと崩れて思うような形がとれません。

 ルーターにダイヤモンド刃でのカットを試みましたが、同心円上に墨色のしぶきが飛んで服と部屋が危険なため中止。

 石炭のモース硬度は2〜2.5、珊瑚より柔らかく真珠に近い柔らかさ。

 無煙炭は炭素90%以上と純度の高い石炭ですがクラックの中には純度の低い土のような脆い部分が入りこんでいます。

 鉄工用やすりでクラックを削りながら緻密な部分で形を作り精密やすり→サンドペーパー#400→#800→#2000と研磨していきます。

 #2000まで磨いたところ。
 

 そしてこちらが植物起源の由緒正しい黒い宝石、国産ジェットの原石。

 石炭は太古の植物の遺体が堆積して化石化したもの、ジェットは樹木そのものが化石化したものです。

 旧石器時代から装飾品として利用され、古代ローマ、プリニウスの博物誌では海岸に打ち上げられる木のような外観の燃える石として紹介されています。日本の海岸にも琥珀と一緒に拾える場所があるのだとか!

 イギリスのヴィクトリア朝時代にはヴィクトリア女王が愛用したことから大流行しました。

 硬度は2.5〜4。ルーターでもコッピングソーでも問題なく刃が入ります。

が、カット後やすりで粗く削っていたらボロっと崩壊。

 カットし直して砥石とサンドペーパーで丁寧に削っていきます。

 思いのほか有用だったのが百均で買った包丁研ぎ用の砥石。

 パッケージを捨ててしまったので粒度がわからないけれど使用感は#200-300/#400-800くらいな感じです。使い捨てのサンドペーパーと比べて研磨力の持続は無限とも感じられるコスパの良さ。

 備長炭と石炭は真っ黒な粉、ジェットは茶色い粉が出ます。備長炭の粉は無臭、石炭とジェットの粉はタール臭というか独特のケミカルな匂いがします。爪の間に入り込んで一番汚れが取れにくかったのは石炭。

 精密研磨フィルムと青砥で仕上げます。研磨フィルムは1枚数百円とコストがかかる割に石の研磨では磨けた実感がいまいちでした。 

 研磨した石に合わせてシルバーと真鍮で石枠を作ります。

左から石炭、備長炭、ジェット

 石留めして完成!

 半分ネタで作りはじめた石炭もツヤピカでかっこいかわいいです。これだけ磨くと触っても擦っても黒い粉はでません。

 拡大すると石炭にはかなりクラックが入っていますがそれもまたクールな味わい。備長炭やジェットが木目のためにわずかに色ムラがあって温かみがあるのに対して、石炭は艶のある漆黒です。

 コットンリボンとカジュアルに、ベルベット生地と合わせてクラシックに。

 ジェットは上品だし、シルバーのフレームと高級感のあるシルクリボンに石炭木炭というギャップの組み合わせにもなにかこうグッとくるものを感じます。

 手と道具と作業場の汚れと片付けを考えなければ…何度もやりたい炭素ジュエリーの研磨でした。

www.creema.jp

www.creema.jp

@sazare14 国産の石炭(無煙炭)を研磨してみました 宝石のジェットのような漆黒の輝き 硬度2-2.5とジュエリーとしてはやわらかめですが 傷やクラックも風合いがあってかわいい #blackdiamond #coal #天然石研磨 ♬ Bach unaccompanied cello suite "Prelude" - Jianteng

黒いダイヤモンド お家でお手軽宝石研磨

 14世紀、イギリスの旅行者が伝えた伝承ではダイヤモンドは2つペアになって子供を産み、5月の霧で育つといいます。ダイヤモンドが勝手に増えたり大きくなったりする、夢のある好きな話です。

 5月のうちに作ってみた黒いダイヤモンドのルース。

木炭

 ダイヤモンドの化学式はC、炭素が結晶した宝石です。宇宙では水素、ヘリウム、酸素に次いで4番目に多い元素で、蟹座にはダイヤモンドの星があり、海王星や天王星ではダイヤモンドの雨が降っているそうです。

 地球上では炭素はダイヤモンドのほか鉛筆の芯になる黒鉛や石炭として、また生物を構成する有機物の材料などとして存在しています。

 

 かつて黒いダイヤモンドと呼ばれたのは石炭。良質の鉄の生産を可能にし、産業革命の原動力となり、億万長者を生み国を富ませました。

 一方で燃やすと発生する二酸化硫黄と二酸化窒素はスモッグの原因となり、1952年に起きたロンドンスモッグでは足元も見えないほどの硫酸の霧がたちこめて10000人以上の死者を出す大惨事を引き起こしたのでした…

 石炭の中でも高品質な無鉛炭はモース硬度2-2.5、磨くと光沢を帯びて、石炭産地では彫刻の材料にも使われました。

 

 木材から水分とタール、揮発成分を取り除いてできるのは木炭です。

 木炭の中でも最高級とされるのがこれまた黒いダイヤモンド、紀州備長炭。原料となるのは暖かい地域の海岸に多いウバメガシ、5月の海霧を浴びて新芽を伸ばします。

 硬く、割れた断面には美しい光沢があり、工芸品やアクセサリーとしても使用される備長炭を材料にルースを作ります。

 

 備長炭のモース硬度は鉄(軟鉄)より硬い4〜5。銀板や銅板を切るための糸鋸では刃がたたず、丈夫な螺旋の刃がついたコッピングソーで挑みます。

 半分いかないところで鋼鉄の刃が摩耗し、上下を入れ替え切り進みますが1 cmほど残して刃がつるつるに。ここまで約30分。

 というか買ってからしばらくしまい込んでいたので、ダイヤモンド刃に付け替えるのを忘れていました。 

 ダイヤモンド刃に変えたらあっさりさくっと切れた。

 ルース用のかけら。割れた面はツヤツヤ、糸鋸で切るとマットな断面。

 縁が波打って穴があるのも味があっていいかも、と思ったのは間違いで、味は削り取られ穴だけ残ったので初心者は傷のないきれいな面を選んだ方が良いかと思います。

 ここから紙やすりで研磨できますがルーターがあれば時短。水をかけながら大雑把な形を作ります。汚れてもいい格好で。

 耐水サンドペーパーで#400→#800→#1000→#1200→#1500→#2000と粒度の荒い方から番手をあげて形を整え、つやを出していきます。

 持っているサンドペーパーが2000番までだったので、仕上げの青棒に飛びます。

 青棒(青砥)は酸化クロムを油脂材料で固めた研磨剤で、粒度は6000番程度です。木材にすり付け、板面でルースを磨きます。

 ここが1番時間のかかる工程でした。#3000のサンドペーパーなどをはさむんだらきっともっと楽でした。緑の粉がルースの凹部に入りこんでしまうのも青棒の欠点。

 仕上がりは…なかなか良いのではないでしょうか。

 特に穴あきの方はまだいびつで手をかける余地はありますが、自分用には充分満足。

 腕も疲れたので…

 黒みがかったマラカイト(左: 硬度3.5〜4)と並べてみました。

 写真では分かり難いですが、備長炭ルースは白炭とも言われるその名の通り銀色がかった美しい金属光沢で、うっすらと有機物らしい木目が見えるのも鑑賞ポイントが高いです。

 他に手磨きに向く宝石はやわらかめのオパール、ヘミモルファイト、トルコ石、フローライトなど。素材のロスや失敗を恐れず大胆に経験を積むにも備長炭は良いですね。

 

sazare-ishi.hateblo.jp

www.creema.jp

www.creema.jp

 

 

カバンシ石

 深い青色のカバンシ石(カバンサイト)は比較的最近になって発見された鉱物です。

 1960年にアメリカオレゴン州で未知の鉱物と思われるものが発見、1963年には同質と思われる鉱物が研究者に渡され1973年同質異像のペンタゴン石(ペンタゴナイト)とともに新鉱物として発表されました。

 主要成分のカルシウム(Calcium)、バナジウム(Vanasium)、珪酸塩(Silicate)の頭文字をつなげて命名されています。

   一時産出が途絶えた幻の鉱物となりましたが現在流通しているのは後に発見されたインドのマハラシュトラ州、プーナ郊外のワゴリで産出されたものです。バナジウムの豊富なプーナ産のカバンシ石は青みが強く、共生する輝沸石や束沸石とのコントラストも鮮やか。産出量も多く収集家に人気の鉱物となりました。

放射状に結晶したピーコックブルーのカバンサイト

カバンサイト(右上)と樹木状に成長したペンタゴナイト(下)

 ペンタゴナイトはカバンサイトと同じ組成で見た目も似ていますが結晶構造が異なります。

 双晶となったペンタゴナイトの結晶の一部が五角形に見えるのがペンタゴナイトの名の由来ですが、肉眼とルーペでは良く分かりません。

 日光のもとではペンタゴナイトの方が強い青みを帯びていて区別ができるという人もいますがどうでしょうか。放射状の断面において緑が強調されるようにも見えるしバナジウムの含有量などでの個体差ではないかという気もします。

カバンサイト

 コロンとした金平糖状の結晶を作るのは他に水晶や玉髄、ヒ素、石黄などがありますがボウタイ型(蝶ネクタイ型、リボン型)の結晶は珍しく独特です。

 ボール状の原石をそのままピアスにしたり、あるいは磨いてルースとしてジュエリーに用いられます。モース硬度3-4と脆いので取り扱いには注意が必要です。

 装飾品にするなら指輪よりはピアスやペンダントなど、衝撃をうけにくい場所で使うのが良いでしょう。

 以前に作った原石アクセサリー色々。

 重心が取りにくい、不整形で石留めが難しい、水晶のような比較的硬度のある鉱物でもクラスターは脆いなど製作の問題。

 気軽に扱いにくい、きらきらして整った結晶が案外肌や服の上では映えない、個性が強くてコーディネートしにくいなどで結局ほとんど出番がなく観賞用となっています。使いやすい原石ジュエリー製作は今後の課題。

 鉱物結晶の形を楽しむためのシルバーピアスを作りました。

 精緻繊細な結晶形をためらいなく素手で触れる、引っ張れる、水濡れOKでつけたままお風呂(温泉除く)にも入れるという安心感。

 

www.creema.jp

www.creema.jp

海辺で石拾い・海で見つける水晶

www.creema.jp

幼い頃、道端や海辺で綺麗な白い小石をさがして集めたものでした。

 大人になった今も海へいくとつい拾ってしまう、濡れると光に透けてキラキラする綺麗な小石…それが石英です。

光を透過する石英の小石

 石英を作る二酸化珪素(SiO2)は、大陸地殻の約60%を占める主要鉱物です。二酸化珪素が結晶してできた石英のうち、特に透明で美しい六角柱をつくるものは水晶と呼ばれます。

 日本はかつては輸出するほど水晶を多く産出する国で、大きく品質の良い結晶はメガネのレンズにも加工されました。子供が山道で気軽に水晶を拾えた時代もありましたが、今では鉱山の多くが閉山し、有名産地のお店へ行っても国産の水晶はなかなか手に入りません。

 

海辺の水晶

 山の水晶は手が届きにくくなりましたが、海で水晶を拾うこともできます。

水晶が拾える海 10月の菖蒲沢海岸

 菖蒲沢海岸は早咲きの桜で有名な伊豆の河津町にある小さな海岸です。河津駅から歩いて30分、爬虫類の動物園IZooの近くです。

 車の場合は小さな有料駐車場があります。トイレもあって安心。

石英が多い小石浜

 赤、緑、黒、白、明るい茶色、カラフルで石英質の石も多い浜です。

風化した水晶の結晶

 ↑ただの石英…ではなく風化して角がとれてきているけれどこれは六角柱のなごりを残した水晶と判定。

  ありふれて見える浜辺の小石もよく見ると

ミニ水晶クラスターつき

ミニ水晶晶洞つき

紫がかったといえなくもないピンク/オレンジ色の入った、
もう少しで水晶といえそうな綺麗な石英。

 この海岸では紫水晶も見つかるそうですが、この時は残念ながら見つけられませんでした。

ママコノシリヌグイ

 海から離れてサンダル履きで浜辺を散策するとこれにやられます。かわいい花にひどい名前(いじわるな継母が継子のお尻をぬぐう草)、トゲのある茎で引っかき傷ができます。

 そんなあたりの足元にあった石。

 ひっくり返すとなんと見事なクラスターが

 

 海岸には玄武岩質の黒い崖があり、そこここに沸石の結晶がついています。

海岸の転石についた菱沸石

 菖蒲沢海岸は鉱物愛好家のメッカだそうで、後で知った菖蒲沢海岸近傍でとれる鉱物は針状のモルデン沸石・青色のカルセドニー・魚眼石などなど…

 さらに縄地金山から流出した自然金の鉱石があるとのこと。銀鉱物を含んで黒っぽくなったところのある石英、その黒い部分(銀黒)に金の微細な粒が入っていることがあるそうです。石拾いに行くならルーペを持っていくのがおすすめです。

 

 菖蒲沢海岸から伊豆半島を南下して、こちらは爪木崎灯台のそばのビーチ。

 

上 風化した水晶結晶、ミニクラスター
左下 小さな貝殻 右下 シーグラス

 砂浜のビーチですが、良く探すと貝殻と小石とシーグラスにまぎれて水晶も落ちていました。

砂の中の水晶

 岩石に含まれる二酸化珪素の結晶は硬いので、岩が風化してできた砂の中にも石英が多く含まれています。

稲佐の浜

 島根の出雲大社の西側約1.5kmにある稲佐の浜。国譲り神話の舞台で、美しい白砂の広がる浜辺です。

稲佐の浜 弁天島

  稲佐の浜では桜貝も拾えます!

桜貝(カバザクラ)

 稲佐の浜の砂を持って出雲大社に参拝し、境内の北側にあるスサノオノミコトをお祀りした素鵞社(そがのやしろ)にあるお砂箱にその砂を納めると、かわりに箱の中のお砂をいただくことができます。

邪気を祓い幸福を呼ぶというありがたいお砂

 拡大すると貝殻の小片、赤や緑や黒の砂と一緒に瑪瑙や水晶の透明な粒が見えます。

 

 

 私たちの住む大陸の普遍、水晶を鉱物結晶ピアスの最初のコレクションの一つにしました。

 存在感はあるのに幅広いファッションに馴染んで使いやすい形です!

 

sazare-ishi.hateblo.jp

www.creema.jp

 

黄金よりも高価な銀/ 銀のお手入れ

黄金よりも希少で高価だった銀

 2024年4月現在、金の価格は20年前の10倍で歴史的な高騰となっています。

 銀は純金の80分の1ほどで、比べるとずっと安く手に入ります。

 けれども古代エジプトでは銀は金よりも高価な貴金属で、金の装飾品に銀メッキを行うこともありました。

 純度の高い砂金が採取できる金と比べて、銀は自然銀として産出されるのはまれで、鉱石の採掘や精錬に手間がかかったからです。

 16世紀に新大陸の銀山が発見されると銀の価格は暴落し、ヨーロッパの封建制度が崩壊する一因となりました。

 

銀の輝き

 純銀はやわらかく変形しやすいので、アクセサリーや食器を作る時には銅などを少量混ぜた合金とします。シルバー925は純度92.5%、シルバー950は純度95%です。

 スターリングシルバーは銅を合金としたシルバー925です。銀製品に含まれる合金のうち亜鉛やカドミニウムには変色を防ぐ働きがありますが、見て分かるほどの違いはほとんどありません。

左下板材:純銀 右上板材:シルバー950 銀オブジェ:シルバー925

白銀の清らかな輝きは黄金よりも美しいと好む人もいますが、時とともに輝きがくすんで黒味を帯びてしまうのが欠点です。

 銀は錆びにくい(酸化しにくい)金属ですが、硫黄成分に反応して黒く硫化してしまいます。

 硫黄泉の出る温泉街を訪れて、温泉に浸からずとも持って行ったシルバーアクセサリーが真っ黒になってしまったことはないでしょうか。

 化粧品やシャンプー、ゴムに含まれる硫黄成分が変色の原因となることもあります。皮脂にも硫黄分が含まれていますが、表面がなめらかなシンプルな指輪などは日常的に触れていることで銀の硫化膜が剥がれて輝きが保ちやすくなります。

 ゆで卵の白味に多く含まれるタンパク質にも硫黄が含まれていて、加熱すると銀を黒くする硫化水素が発生します。卵がアルカリ側になるほど(古いほど)、高温で長く加熱するほど硫化水素がでやすくなります。固ゆでたまごを銀器に盛り付けると器が変色するので気をつける必要があります。

 銀器が貴族に人気だった時代、この黒化は必ずしも欠点ではありませんでした。銀は毒物に反応して黒くなると信じられていたからです。実際に、水溶性で無味無臭の毒物として人気だった当時のヒ素には銀器と反応する硫化ヒ素が含まれており暗殺を防ぐのに有効だったようです。

左からロジウムメッキ、メッキなし銀(シルバー925)、硫化した銀

 黄金より希少な銀色

 ジュエリー・アクセサリーショップで取り扱う貴金属といえば黄金、プラチナ、シルバーですが、もう一つ私たちが目にすることが多い貴金属はロジウムです。

 銀色のロジウムは硬く、腐食しにく、アレルギーの原因にもなりにくいため銀製品を保護するメッキとしてよく使われます。

 ロジウムはプラチナとよく似た性質を持つ金属です。地殻中に存在するプラチナは金の10分の1に満たない量ですが、ロジウムはプラチナよりもさらに希少で、安定同位体を持つ元素の中では3番目にレアな物質です。近年は電子部品や自動車用触媒としてもロジウムの需要が増し、2021年には金の10倍以上もの価格で取引されていました。

 その後価格は落ち着いてきていますが、現在でも「最も希少で最も高価な貴金属」と言われるのがロジウムです。

 

銀のお手入れ

①拭く・磨く

平らな面であれば指や柔らかな布で拭き取るだけでもある程度黒ずみはとれますし、

研磨剤入りのシルバークロスを使っても良いでしょう。重曹を研磨剤がわりにして歯ブラシで磨く方法もあります。

※メッキ製品はメッキが剥がれる可能性があるので研磨剤の含まれるものは避けてください。

 

②重曹(塩)とアルミホイルでクリーニング

研磨して細かい傷をつけたくない!という時、形が複雑でうまく磨けないという時。

※ シルバー以外の素材を用いたアクセサリーは熱や化学変化の影響を受ける可能性があるので避けてください。

 

用意するもの

・金属性でない容器

・アルミホイル

・熱湯 約300ml

・塩または重曹 大さじ1 

 

方法

硫化して黒くなった銀製品

①容器にアルミホイルをしいて塩(重曹)を入れる

アルミホイルと塩

アルミホイルと重曹

②シルバーアクセサリーを置いて熱湯を注ぐ

←左 塩 右→ 重曹

数秒で変化が

クリーニング後 金具の洋白・ロウ付け部分は少し黒みがのこりました

 

3Ag2S + 2Al → 6Ag + Al2S3

 

 アルミニウム(Al)が銀(Ag)よりも硫黄(S)とくっつきやすい性質を利用したもので、銀を黒くしていた硫黄がアルミニウムに移動します。

重曹(重炭酸ナトリウム)がアルミニウムの表面についた酸化ナトリウムの薄膜を取り除き、塩化ナトリウムはイオンの移動を助けることで反応を促します。

 この方法で小さなアクセサリーは数秒で綺麗になりましたが、面積の大きなもの、長年の硫化膜がついたものは銀色の地肌が戻りませんでした。

硫化した銀のカップ

塩と重曹とアルミホイルを入れてカップをゆでます

 石の入った持ち手を外してアルミホイルと共に塩と重曹を合わせた溶液で煮込むこと数分。

煮沸後

 黒ずみがアルミ側にうつって白銀色の地肌が戻りました!

www.creema.jp

www.creema.jp



 

 

 

 

 

白鉛鉱 鉱物アクセサリー

 白鉛鉱は鉛の鉱物で板状、柱状、針状とさまざまな結晶をつくります。

 英語名のセル―サイトcerussiteの語源はラテン語のcerussa(鉛白)からきています。鉛白で作られたおしろいは古代ローマや中世ヨーロッパ、日本でも1934年に製造禁止されるまで女性用の化粧品として広く用いられました。貧血・消化器症状・神経麻痺から脳変性まで起こす鉛白の毒性が明らかになってからも、肌を美しく見せたい女性たちはなかなか使うのをやめなかったそうです。

 白鉛鉱の屈折率は1.8~2.08とダイヤモンド(約2.4)には及ばないながら水晶(1.54~1.55)よりも高く、また波長の違う光を分ける複屈折率と分散度も高く、透明な結晶をカットするとキラキラ虹色のファイアが輝く宝石になります。

艶のあるアメ色の白鉛鉱結晶

 比重は6.5、水の6.5倍で水晶(2.64~2.69)の2倍以上、手にとると見た目以上にずっしり重みのある鉱物です。

 矢筈状、斜格子状、雪のような複雑な形の結晶も作ります。

 Snowflake cerussite (スノーフレークセルーサイト)という格好良い名前のついた白鉛鉱がこちら。

雪の結晶のような白鉛鉱① 

 

雪の結晶のような白鉛鉱② 

 弱点は脆く割れやすいこと。

 硬度3~3.5 完全なへき開性。

    白鉛鉱の小さな標本を型取りして銀のピアスが出来ました。

シルバー925 白鉛鉱のピアス

煌めく雪の結晶のような白鉛鉱 

www.creema.jp

www.creema.jp



 

 

 

鉱物結晶ピアス

鉱物の結晶をかたどったのピアス。

鉱物結晶コレクション

鉱物結晶いろいろ

 脆かったり、化学変化を起こしやすかったり、加工しにくい鉱物結晶の形を写したシリーズです。

 

www.creema.jp

www.creema.jp